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独立して五年くらい経って気づいたことなど

# 概要

会社員辞めて独立してだいたい 5 年くらいたったので、独立して初めて知ったことや、5 年ほどの独立経験を通じて感じたことなどをざっと書く。

# 独立前と独立後のギャップ

# 独立前は難しいと思ってたが簡単だったこと

独立する前は、独立してやっていくのはそれなりのスキルが無いと大変なのかと思ってたけど、全然そんなことはなく、独立してそこそこ売上利益出すこと自体は簡単だった。 まあこれは自分が優秀とかではなく、単純に IT 業界が成長産業で需要過多だっただけなんだけど。

ある程度社会人経験あり、今の業務がそれなりにやれてるなら、今の時代普通にだれでも独立できると思う。 IT エンジニアで言うと、経験 5 年程度の経験知識あって普通のコミュニケーション力あれば全然余裕でいける。

TIP

もし、会社員のときに割に合わない仕事やってたりするなら、その時間を賃金換算すると独立したら収入はとんでもなく上がる。これは実体験なので確実にそう言える。

たまに、独立して後悔したことは?と聞かれることがあるが、私の場合、「なんでもっと早く独立しなかったんだろうっていうのが一番の後悔」と答えるくらい、あと数年早く独立しておけば。。。って今でも思っている。これは陵南戦の三井寿の気分「くそ…… なぜオレはあんなムダな時間を……」

# 独立前は簡単だと思ってたが難しかったこと

難しかったこと、というより思ってたより大変だと思ったのは、法人(株式会社)の運営にかかるもろもろ事務処理。 想像の何倍も事務処理が多く、そして複雑。会計や労務のクラウドサービスがなかったら、専門知識が無いと絶対無理。

なんなんだろう法人税の中間納付とか、、、狂ってるとしか言えない。 2024 年にだけやった定額減税はマジで頭おかしい、普通に減税すればいいじゃん。 とまあそんな感じで、こんなに多く複雑にしてて誰にメリットあるんだよと思うけど、まあいろいろ事情やら利権やらあるんだろうな。。。

これの唯一のメリットとしては、個人事業主と法人の信頼度の差に少し貢献はしてる気もするくらいかな。

# 独立して知った真理

# 「売れる=いい物」では必ずしもない

傾向としてはもちろん、売れるものや儲かるビジネスというのは、それ相応の品質であることはあるが、それは大して重要な要素ではないということ。 結局は営業と、人脈と、いかに利権構造に入り込めるかってことが売上利益を上げる為の要素として一番強いということが身に染みて良くわかった。

IT 業界で言うと、明らかに突出した技術力や独占されたサービスがあるなら話は別だが、そんな人や企業は国内にはそもそもない。みんな似たり寄ったりな形で、いかに製品やサービス、企業をよく見せるかで受注は決まり、受注単価も上がる。

昔勤めてた会社が、技術者が離れるリスクよりも、営業や SI の方向に舵を切ったことが今ならすごくわかる。 実際転職できるスキル持った技術者は全員辞めたけど、別に高い技術を必要とする仕事はしなくても、全然売上を上げてやっていけてる。

そう考えると、会社を安定して運営するには、「営業 > 技術者」だったり、「会社への従順さ > 技術力の高さ」というのは優先度的にはあってそうな気がする。

スタートアップ企業に朗報?

明らかに参入障壁が低いサービスでも、営業努力によってはお金になる事例をそれなりに見た。

誰がこのサービスを使用するんだ。。。?誰がこの事業に投資したりするんだ。。。?っていうのものは結構あり、それはまさに営業というかプレゼン能力や資料作成が超優秀なのだと思う。 その辺自分には全く無いスキルなので別に皮肉でもなくめちゃくちゃ素直に尊敬する。

フリーランスエンジニアになりたい人に朗報?

参画する企業やプロジェクトによっては、プログラム経験 3 ヶ月程度くらいでも全然余裕で入り込める。 実際にそのレベルの人はプロジェクトにゴロゴロいる。

これも結局は営業というか仲介するエージェントの売り込み能力が高いってこと。まあ現場でその分の割を食う人は気の毒だけど。。。

# 人材の雇用や契約について

これはあくまで自社での実感だが、正社員より業務委託のほうがコスパがいいことが分かった。 単純な単価だけでは業務委託のほうが正社員より少し高くなるが、以下 3 つの理由でその結論に至る。

# ① 採用した後のコスト

正社員の場合、所得税や年末調整、住民税、雇用保険、社会保険、交通費や経費など精算、その他もろもろなど、いちいち制度が複雑だったり無駄に小分けされてたりとで、月次と年次で事務処理がかなりかかる。

これらが業務委託だと、発注書出して請求書受け取ってお金振り込むだけ。手間や時間は 1/10 くらい。

# ② 採用するまでのコスト

正社員の場合雇う前もすさまじく手間。 法律上正社員を簡単に解雇することがきないので、万一ダメだった場合のリスクを考え、採用は厳格に、慎重に精査しなければならない。 また、採用される側も転職となりキャリアや人生を左右するものなので慎重になり、条件面などの確認や相談、交渉などをそれなりにしてくる為、その対応に時間がとられる。

これが業務委託なら、採用する側もされる側も、ダメだったら即チェンジ、ってのができるのでそこまで慎重にならず採用できる。

# ③ 採用した時のコスト

そもそも正社員の場合、リファラル採用や企業の募集に直接応募してもらわない限り、基本的に金がめちゃくちゃかかる。 (ハローワークは無料だけど、公務員の方々がやってる行政のサービスが、専門知識持ったプロの方々がやってる民間の人材系企業に勝てるはずもなく。。。)

業務委託なら実質ほぼ無料で人材調達できる。厳密には、業務委託先の会社や仲介会社にその人の人件費+α 分上乗せがあるが、微々たるもの。

以上 3 つを総合して、支払う金額とかかる手間を考えると、そういった結論になってしまう。ただ、あくまでこれは金銭的な利益の面のみにフォーカスした内容であり、人を雇用するということは、他にもいろいろな思いや目的があるため、コスパだけが全てではない、ということだけは最後に補足しておく。

# 感じたこと

# いろんな企業のビジネスモデルを見て萎えた

前提として、他社の批判や否定をしてるわけではないが、世の中にはなんの生産性も生み出さないような仕事が溢れかえっていることを、驚きとともに虚しさを感じた。 具体的に上げないが、転売ヤーみたいなことをしてるビジネスモデルがめっちゃくちゃ多い。そりゃ国内の生産労働人口や競争力が下って国力が衰退するわ。。。ってなる。

また、普通に詐欺まがいなことをやってる会社も多い。そして想像の数倍手口が巧妙。 自分も高い勉強代としてウン百万円損した。 民事裁判になってもぎりぎり敗訴しなさそうな内容だったり、そもそも裁判を起こさせる気が起きないぎりぎりの金額をついてくるのがまたうまい。

あとは、いわゆるタックスイーターの会社や団体がほんとに多すぎる。この辺はまあ今の国の税金の使い方見てるとなんとなく想像はしていたが、実際それを目のあたりにするとうわぁ。。。ってなった。

# 自由になれるのはほんとに一握りの人

自分の好きな仕事だけをやって生きていくことは、独立すればそれに一歩近づけると思っていたが、独立したことで、それがいかに難しいことなのかを痛感した。 自分が完全に好きなことだけやれる状態というのは、自分が何もしなくても収益が生まれる状態とほぼ同義だと思ってる。

収益を生むために結局はやりたくない仕事もやらないといけないし、仕事を人に任せたとしても最終的な責任は自分にあるので問題ないかチェックしないといけない。

また、個人で自由に発信や活動ができるかどうかというのも同じ。会社に勤めている時は、会社に迷惑かける訳にはいかないので、オンラインではブログや SNS で自由な発信できず、オフラインでの活動も目立つものは制限されると思うが、独立後もそれはほぼ同じだった。

独立後に少し脇が甘くなって多少身バレしてもいいやって思い、匿名アカウントのノリで好き放題発信してたが、思想や思考などが顧客の価値観と合わない部分があり、顧客に注意されたことがある。結局は客商売をやっているので、こうなることは普通に起きる。

また、ここでは詳細を書けないが、独立したらとある団体でとある活動をしようと思っていたが、身バレ必須な活動な為、結局尻込みしてしまいできていない。

TIP

逆に言うと、自由に発信や活動ができるということは、

  • 不労所得がある
  • もう稼ぐ必要ないくらいお金持ち
  • 顧客に依存しないビジネスモデル
  • その人自身が希少人材である

などというようなことだと思い。あぁ、、、自分には無理だな。。。って実感した。

とはいえ、やはり会社勤めしてた時よりは少なからず身軽にはなっているので、あとはより自由を求めてひたすら努力すればいいかと思う。 つまり、自由を求めて進み続ける某巨人と同じ。

# まとめや感想

やっぱ何事も経験は大事ってこと。自分でやってみないと分からないことや、生まれない価値観というものは絶対ある。

また、独立が仮にうまくいかなくて会社員に逆戻りしたとしても、独立の経験は絶対プラスになるので、特に経営層に近い役職の人たちは経験したほうがいいと思う。 経営者は孤独って言葉があるけど、経営者の気持ちが分かりそれが緩和され、よりよい会社運営になるはずなので。